後悔は少なめのMY LIFE

労力と金銭は惜しまないstyle

カガミ想馬プロデュース「熱海殺人事件」

4/11~16 全12公演(阿佐ヶ谷アルシェ)

カガミ想馬とは石部雄一さんが作演される時の名義です。
つかこうへいの「熱海殺人事件」の3バージョンを3チームで4公演ずつ上演するという機会に我が推しがお呼ばれしました。
つか作品はこれまでにいくつか観ておりますが、とにかく台詞を大絶叫、早口で捲し立てるという、演者も客も疲労困憊することに定評があります。
私がつか作品を語る際、必ず言っていることがありますので今回も言います。
正直、つか作品は苦手です。まずもって美しくないし、女は漏れなくdisられるし、人間の汚い部分を見せつけられるような内容が観ていてかなりつらい。じゃあ何でわざわざお金払って観に行くかっていうと、そんなん好きな役者が出ているからに決まっているじゃないですか。それ以外の理由いります?(あの、喧嘩は売ってませんよ?)
それに苦手と言っていますが、好きな役者がつか作品に出る=役者として大きく成長出来るから。一人前の役者として認められると思っているので観に行かなきゃ!となるわけです。
私にとってつか作品はめちゃくちゃ苦いけど体に良い薬もしくは美味しくないけど栄養のある食べ物みたいなものです。
それと私はつかではお馴染みの演出家のO村おじさんが苦手なんですね。若俳界隈でしょっちゅう炎上していて壊滅的にSNSに向かないおじさん。
あの人が関わっていなければ大丈夫なはずだし、山浦徹さん演出のPatch stage EXの熱海~は観ていて決して嫌な気持ちにはならなかったので、カガミさんの演出は初めてだけど推しが尊敬しているパイセンですし、地雷はないはずと確信して観劇しました。

熱海殺人事件のあらすじはとても簡単です。凄腕部長刑事の木村伝兵衛が恋人殺しの犯人大山金太郎を三流の犯人から一流の犯人に育て上げ、その中で田舎から赴任してきた熊田留吉刑事、木村の部下であり愛人の水野朋子、大山、木村自身も成長していくというのが基本バージョン。
ちなみに各人物の関係性は色々あって、熊田を故郷で待っているのが彼女ではなく母親だったり、水野朋子は最初のバージョンでは片桐ハナ子という名前だったり。
※Patch EXでは母親で片桐ハナ子でした。あと木村の愛人設定がないというか、おそらく愛人だと思うけどその表現が薄かった

以下、3バージョン感想です。


◆ザ・ロンゲスト・スプリング
熱海殺人事件の基本型にプラスして恋愛要素を強くした作品。今回の3作中で一番スタンダードに近いと思う。
熱海~はね普通にスタンダードやったら2時間弱くらいのランタイムなんですよ。多少アドリブで長くはなるけど。でもロンゲスト~は恋愛エピソード部分が長くて終わったら2時間以上経っていた。
大山がアイ子と熱海をデートする回想シーンはどこをとっても観ていてしんどくて、でも推しの演技が素晴らしくて毎回釘付けでした。
大山の高いコーヒーを値切ったり、お洒落なつもりのダサい服とか、勤め先で給料ピンはねされてるの分かってないとか、アイ子が恥ずかしくてたまらなかった気持ちがグサグサ刺さった。アイ子だって売春宿では最低ランクの女(ここの表現もかなりアレでした)なのにね。1000円出されてバカにしてんの?!と怒ったことが大山の感情を逆撫でし、殺人に発展してしまうってありなのかなあと冷静に考えて思わなくもないけど、ここの推しとアイ子兼役の那海さんの演技が凄まじくてどうでもよくなりました。そのくらいすごかった。躊躇いが見えるとお客に気づかれてしまう(ということを熊田役の福地さんが仰っていていた)。
熱海~は木村伝兵衛がイカれていてなんぼだと思っているので、石部さんの木村はいい感じにキ◯ガイ且つカッコ良かったです。水野役の那海さんとの掛け合いも息ピッタリで、予定調和のアドリブシーン(夜の四次元ポケット~とかの)のお陰で愛人関係のところが露骨に生々しくはないけど不自然にならない程度にエッチだったと思います。那海さんがショートカットのボーイッシュ美人というのも大きい。
生々しいといえば熊田の彼女の表現もかなりのものでした笑。典型的な干物女でタ◯ポンずっと入れたまま3ヶ月放置して…ってそんな女おるかーい!笑
まあこういうのが女disりの典型なんだろうな~そこが気になるかならないかで見方が変わると思いますが。私は福地さんの突き抜けた演技が新鮮でビックリでした。
劇中、既存の曲が何曲も使用されているのですが、昭和の歌謡曲フォークソングに最近のJポップ。ラストに使われたプリンセス・プリンセスの「M」が山崎まさよしのカバーバージョンだったのが印象的でした。カガミさん曰く「古い話なので当時の世界観を大事にしつつ若い人にも馴染みのある曲を選んだ」そうで、Mがカバーなのはそういうところを考慮したのと水野のMをかけていて、木村側の気持ちを歌っているから男性版なのだとか。
初日、最前で観たら覚悟していたけどお花の匂いがすごかったです。大山が木村に花束で殴られからの大山が木村の足元に這いつくばるシーンを推しで観れて幸せでした。あとくじのゲネ写真でこの2シーンが当たったの~♪


◆売春捜査官
木村伝兵衛が女性バージョン。女系家族に生まれたので男の名前をつけられたという設定。
3作の中で一番地雷的なテーマがのしかかる作品。
女性蔑視、在日朝鮮人といったタブーが出せるのは表現方法が舞台という場所であり、また40年前の作品が今でも受け入れられているからだと思う。
タイトルが衝撃的なのは、木村がその体を使って捜査をする「趣味:売春」だから。
それを木村が言い切ってしまう辺りすごい。
(呆気にとられてすごいとしか言えない)
木村の部下水野にあたるのはゲイの藤堂瞬(という本名を役名にされた役者さん)。
女上司なので部下が男でも愛人にはせずゲイというのがポイント()
藤堂さんはそれ以外にも大山の殺人の鍵を握る故郷の先輩である李を兼役してました。
木村役の半仁田みゆきさんは、体を使って犯人を検挙し、出世していても女だから差別的な扱いを受けるという同性が観るにはきっつい役ではありましたが、美しく堂々とした木村で本当にカッコよくて可愛らしく魅力的な女木村伝兵衛でした。単に容姿が良いだけでなくそこに凛とした美しさと確かな演技力がないと務まらない。一番しんどい内容ではあったけれど、もう一度観てみたい作品でした。


◆水野朋子物語
おそらく世間にはあまり出回っていない作品、らしい。(カガミさん曰く)
木村と水野の立場が入れ替わるバージョン。
水野役の桜あずさん。初見でしたがとても可愛い方で声優さんらしい。そういや明らかに彼女目当てと思われる男性ファンがたくさん前方席に座っていたな~
着ぐるみパジャマからのスーツ(黒ブチ眼鏡オプション)は反則(笑)
話の内容は熱海~のスタンダード版と同じなのに、大山役の夢麻呂さんがとにかく50↑とは思えないパワフルさでアドリブかましまくり、話があちこち飛びまくりめたくそ笑わせて頂きました。3作品の中で一番気楽に観れたかも。
終わってから夢麻呂さんとお話させて頂きました。
こういうこと言うのはどうかと思わなくもないのですが、感想言う時は自分はつか作品過去にいくつか観ていて正直苦手だけど、好きな役者が演じるのはその役者の成長に繋がることだから決して嫌ではないと断った上で伝えます。(カガミさんにも言いましたし推しにもちゃんと手紙で伝えています)
夢さん曰くつか作品は「演劇が好きなら演者も客も必ず通って欲しい道」だそうで、なるほどな~と思いました。


帰りの交通機関や翌日の仕事の関係でラストまで観れず土曜日で帰らざるを得なかったのですが、今回みたいな肉体的精神的に酷使するような作品に推しが出れたことは本当に嬉しかった。
女disりは好きではないけど、推しが口汚ない台詞を言うの少し期待していたのですが、残念ながら(?)熱海~はそこまで過激な作品ではありませんでした。