後悔は少なめのMY LIFE

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8/30「クジラの歌」感想

ハイステキャストの出演する舞台を観る月間その3は、金井成大くん主演の「クジラの歌」でした。


上京している時で、1こだけぽこっと空いている日があったのでそこをとりました。キャパ100あるかないかの小劇場で商業舞台で活躍中の若俳が観れるってよく考えなくてもすごい。ちなみに例によってハイステ以外の成大くんを観るのは初めてです。ブラザースコンフリクトやパタリロ!の舞台に出ているのは知っていたので、カラーのウィッグが多いという勝手なイメージがありました。(花巻の髪の色があれなのでイメージは間違っていないと思って欲しい)


えのもとぐりむさんの作品を前から観たいと思っていたのと、7月のマッドジャーニーで推しくんと共演して気になっていたキャストさんが出るので舞台オタク的には1つでも観れたらOKのはずがですね、めっちゃくちゃ!!!!良かった!!!!
多分、今年観劇にした中でベスト3に入りそう。


まず席が。1度しか観れないからとプレミアムでとったのですが、発券したら最前列の上手と思われる番号で。公式アカウントの画像見たら3面舞台になっとる…!私の番号だとこれ上手奥じゃね?
三面だと事前に分かっていたら、って私が前もって公式アカウントチェックしていなかったので自己責任なのですが、一度しか観れないならプレミアムに拘らないで自由席にすれば良かった。箱のキャパからして後で観ても問題もない。リピートありきなら違う視点で観るのにサイドの席もありですけど。
しかしサイドとはいえ舞台との距離数10センチですよ…小劇場では何度も経験ある距離なのでさほど驚くことでもないのですが、すぐ目の前にある成大くんの足はめちゃくちゃ細くて長く、また尻がびっくりするくらい小さかった…
それと次のハイステで国見ちゃんを演じる神田聖司くんも出ていたんですが、彼も背が高くて細くて(180センチ58キロと自己申告するシーンあり)最近の若者どこもかしこも細すぎ問題…と思わずにいられませんでした。
リピートしたくても先約で別舞台のチケットとっているのでこれ以上増やせない。
というわけで一度だけしかない機会を見逃さないように、と思いつつ臨みました。


…泣きました。泣きすぎて目玉とれるんとちゃうんかってくらい泣きました。
自殺志願者が集まった沖縄行きのフェリーに突然シージャックが乱入。
首謀者の男は不治の病で余命いくばくもなく、彼の恋人もまた難聴という障がいと完治することのない大きな病を持っていた。
生きたくても生きられない人間が生きられるのに死を選ぶ者を殺そうとする構図は、小劇場で観ると臨場感と緊張感半端なかったです。
自殺志願者達は自ら死を望んでおいていざ殺されるとなると怖がるんですね。
乗船客達が今から殺されるように銃口を向けられている場面は特に目が話せなかったです。
種明かしをすると、乗船客がフェリーの予約を申し込んだのは自殺志願者サイトで、サイトの管理人は首謀者瀬美の妹だった。瀬美のバンド仲間、彼を診察した医者達が結託し、シージャックを遂行したのでした。
間に瀬美の過去、自殺志願者達それぞれの事情が明かされていく過程が描かれ、重い内容であることは間違いないのですが、その中で笑えるシーンも多々あり、シリアスな話にコメディ要素を盛り込む手法は一歩間違うと不快になりかねないのですが、新里さんの演出は決してそんなことはなく、自然に笑えました。


キャストについて。初めて観る方の方が多かったのですが、演出の新里哲太郎さんは沖縄の方で前説からうちなー口でゆるーく喋っていらして、劇中でも唯一自殺志願ではない乗船客弐太璃という役(実は瀬美の恋人真心の兄)で出られていて、ネイティブうちなー言葉が場を明るくしていました。
瀬美のバンド仲間の鳴海役の安達健太郎さん。
元お笑い芸人カナリアの人ですが、芸人さんって演技上手いなあと思わずにいられませんでした。一番引き込まれました。文字におこすとどこが面白いの?と思う台詞も彼が言うと面白く感じるのはやはり芸人さんだからかな。大阪弁も効果的。劇中では割と毒っぽい台詞も言うのだけど、瀬美のこと大切に思っているのがよく分かる。ていうかシージャック一味が皆瀬美のこと好きすぎる笑。
瀬美の恋人真心を演じていたのが飛鳥凛さん。名前を見た時、仮面ライダーWの園咲若菜様の彼女しか思い浮かばなかったけどその人でした。耳が不自由で死を待つだけの人生で瀬美と出会い、やがては自ら死を選んでしまう。瀬美と心を通わせていく過程は美しく可愛らしく、時に切なくて、私の涙腺はそこでぶち切れました。
真心が自殺した後でシージャックが行われるのですが、真心の姿が舞台上にあるので、瀬美の「部屋にもう1人女性がいる」という言葉に観ている側もまんまと騙されました。
瀬美は最初に船員を射殺していて「俺は既に1人殺している」という台詞があるのですが、射殺はフェイクだったのでおそらく自殺した真心のことを自分が死なせてしまったということかなあ。
自殺志願者の1人、人を殺したヤクザ鯱役の塩口量平さん。7月のマッドジャーニーで観て気になっていた方です。私の席が鯱と彼女のルカの部屋の前だったのですがメインの芝居とは別のところで、2人で話し込んでいる場面があり、正面と両サイドで複数観れたらまた視点が変わって新たな見方が出来るんだろうな。うーん返すがえすもサイド1回だけなのが残念過ぎるのでDVD買いますハイ。
主人公瀬美。成大くんは無表情ぽいキャラが合いそうな顔立ちでそれが前半の非情なシージャック犯にとても合っていたのですが、それだけに後半に見せる素の姿とのギャップにひかれました。
真心と出会って心を通わせ恋仲になるプロセスでの笑顔はとても優しく、誰よりも人間らしかった。
ギター演奏はおそらく初挑戦かな?テクニックはともかくとして(すみません)歌もギターも全部響いたので問題なし。
ついでに瀬美が真心の名前を呼ぶ時、自分の本名に似ているというか本名を縮めると真心と同じで子供の頃はそう呼ばれていたので、ドキッとしました。
単純ですね。ブロマイド大人買いしましたわよ。
この日は完全にキャンディーちゃん(成大ファンの通称)になっていました笑。


生きたくても生きられない者が生きられるのに死ににいく者に向けたメッセージ。最後の瀬美の長台詞ではもうずっと泣いていましたね。
つらくてもしんどくても生きること。自分のペースでクジラのようにゆっくり、ゆったりと。
何も難しいことは言っていないんです。ごく単純なことなのに、こんなにも響くなんて。
あ、ダメだ、今思い出しても泣けてくる。
ぐりむさんの話は重くて病む系のが多いとは聞いていましたが、クジラの歌は重いけどそれだけではなく人生にとって大切なことを伝えてくれたと思います。観に行って良かった。