後悔は少なめのMY LIFE

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ツツシニウム#4「ノコッタカンカク」感想

2/8~12 全8公演


意味深なキャッチコピーと謎な世界観のデザインなフライヤー。答えは劇場にありました。


ツツシニウムは一昨年のカエルエカに続いて2回めです。福地さんの演出はENG作品で何度か拝見しているのですが、オリジナル作品の傾向が掴めていなかったのです。
今回で何となく分かったような…?
まあね、やっぱり推しを起用して下さる方の作品は好きでいたいし理解したいじゃないですか、という私の拘りです。


ある劇団がマクベスの稽古をしている設定。

男1 マクベス役の役者(図師さん)
男2 演出家(福地さん、鷲尾さん) Wキャスト
男3 演出助手(星璃くん)
男4 共演の役者(門野くん)
女1 稽古を見にきた(多分)役者仲間(亜沙香さん)
女2 共演の女優(綾ちゃん)
女3 共演の女優、一番後輩(あだつちゃん)

冒頭から長台詞の男1、その熱量からシェイクスピア作品だとすぐに分かる。
熱演中の空気を壊すように入ってくる男4。
舞台の稽古場面は観劇オタクにはとても馴染みのある景色ですね。実際に見なくてもSNSでしょっちゅう役者があげているから。
遅刻を責められる男4は「電車の遅延で◯◯(海外)での乗換がうまくいかなかった」と言い訳する。
ん?ここは日本じゃなかったの?
本能的に観ている側は日本のどこかである劇団が稽古をしている場面だと思い込んでいるところへ、舞台はドイツだったんだ?!と再確認させられる。
そういえば彼らには名前がない…
でも話の中でカップラーメン食べていたりSMAPの名前が出てきたり。これは私は日本人向けに分かりやすくした翻訳的な演出かなと思っています。

カエルエカは一般的な大学生の合コンシチュなのに、100年くらい未来の話だったなそういえば。
100年後の世界では当たり前だけどiPodは骨董品扱いで。身近にはよくあるシチュエーションだけど、どこが現実離れした世界を描いている。でも決して安易ではない。上手く表現できないけど、私の福地さん作品のイメージはこんな感じです。


カスパー・ハウザーという19世紀のドイツに実在した人物の感覚が稽古中の男1に入り込み、場面は現代の稽古場、19世紀のドイツ、マクベスの舞台と次々にスライドして行きます。
舞台上に7人いるキャストはカスパーと彼の周囲の人達も演じるので、板の上には倍の14人以上がいるようでなかなか美味しい。

男1 カスパー・ハウザー
男2 カスパーを最初に見つけた男(ジョルゲ・アイヒマン)
男3 カスパーの護衛人(ヒッケル)
男4 カスパーの後見人(スタンホープ卿)
女1 カスパーを監禁していた女
女2 カスパーを教育した学者(ダウマー)
女3 監禁女の妹でカスパーに言葉を教えた女

カスパーについての詳細はウィキって下さい。
ググるではなくウィキる、なのは推しの台詞からの引用です笑。
各人物の舞台上でのポジションがほぼ定位置だったので、推し的には下手がとても美味しかった。
一度敢えての反対側最前で観たら、推しはあまり見えなかったけど、亜沙香さんの動きや表情がよく見えてこれはこれで良かった。亜沙香さんのあのお顔は同性でもドキドキする美しさでした。
風景や抽象的な映像をバックに流すことで「エモの可視化」効果を発揮していまして。これがあることで確かに更に物語に引き込まれるという効果なのかな?わたし的には音楽の方が客入れの時のチョイスからどれも素敵だったのですが、これはまあ好みもあるので。言うまでもなくキャストのスキルが高いからこそ成り立った作品ですよね。


そして推しに振り幅の違う難しい役を与えて下さる福地さんは神です。いやマジで。
多分ね、これまでの印象だと男4の方だったと思うのよ。そこを敢えて門野くんにああいうチョケた役を振り、推しにはインテリメガネの若干イヤミっぽい役をもってくる。まさに神です。大事なことなので2回言います。
とはいえもし男4なら亜沙香さんといちゃいちゃするところも見れたのかなと思うとそれはそれでとても見たい…


図師さんはコメディ寄りの役者さんですが、そういう方がシリアスな役をやるとギャップにやられるのは去年のメトロノウムで立証済み。
(ちなみに私の初図師さんは、漫才師なのに最後めちゃくちゃ泣かせにくるという反則な役でした)
男1の演技にのめり込む姿やカスパーの無垢で真摯で愚鈍な言動は図師さんでしか想像できないなーと思わされてしまう。
亜沙香さんの女1は男1の元カノで、今は男4と付き合っている(ように見せている?)のだけど、2人の関係とカスパーが生きてきた環境の謎が目の前で明らかにされるラストのお二人の演技に毎回胸が苦しかった…。女の執念をひしひしと感じる。いやこの女1の怖さは亜沙香さんならではやな…という見事なキャストのはまり具合でした。
もちろん、このお二人だけではなく、他のキャストの皆さんもそれぞれ魅力的でした。
綾ちゃんはド天然でKYで、綾ちゃんだから許せるけど実際こんな先輩いたら正直しんどいし、ことあるごとに門野くんにイラッとしてストレスたまるだろうな~と、私は割とあだつちゃん寄りで観ていました笑。
門野くんは笑いどころでの出番が多いので、段々ラーメンのシーンのアドリブが増えていったし、対鷲尾、対福地の違いを見るのが楽しかったな。
キムチの気持ちとか誰目線の話とかハッとさせられる台詞も印象的でした。


誰がカスパーを殺したかは分からずじまいだし(史実なので仕方ない)、終わりかたもスッキリしているとは言い難いのに、後味の悪さは不思議となくて、「そこ」にカンカクを残すより終わってから持ち帰って、好きなキャストの皆さんと共有出来た5日間はとても幸せでした。


蛇足ですが今回の会場が京王線沿いで、京王線といえば推しの初東京での客演を観に行ったのも同じ沿線。笹塚と八幡山は駅前の風景が少し似ていて、劇場もどちらも地下にあるところが何となく似ていて、懐かしい気持ちにもなりました。
当時、同じ場所で観ていたけれど名前を知らなかった人達と今仲良くさせて貰っている縁を感じたり。


そして、時間が経ってしまうとカンカクが残らなくなっていくことがつらいので、感想はなるべく早くあげよう自分、と思ったのでした笑。